大阪プロレスで年間最大規模の興行となる“エクスカリバー”を観戦してきました。

大会名にエクスカリバーが付けられるのは2年連続となり、これからは以前の“ハリケーン”のようにビッグマッチの冠言葉となってくるのかな?

加えてエクスカリバーではメインの勝者にその名の通りに聖剣エクスカリバーが渡されますが、大相撲の千秋楽で渡される“矢・弦・弓”のような感じで大好きです。

そんなエクスカリバー、昨年は完成したばかりの咲洲モリーナで開催されました(参照)。

これはあくまで個人的な感想ではありますが、ビッグマッチのプロレスを行うには厳しめの評価になってしまう会場でもありました。

今年も同じ所なら…と考えてはいましたが、発表された会場は東和薬品RACTABドームのサブアリーナ。

何やら聞き慣れない名前の会場でしたが、調べてみるとかつては“なみはやドーム”という名称で使われていたとのこと。

そうです、なみはやドームといえば大阪プロレスにとって始まりの地、旗揚げ大会が行われた場所です。

そして、旗揚げ大会以降はしばらく大阪プロレスとして興行をすることはありませんでしたが、2006年に“原点回帰”として約7年ぶりに戻ってきた時の大会名が大阪ハリケーンでした。



ビッグマッチなのでせめてタイトルマッチだけでも見どころを戯言にまとめておきたかったですが、残念ながら年末の多忙につきできませんでした。。。

そんな中で注目していたのは松房龍哉選手とSUZAKU選手の大阪ライトヘビー級選手権試合で、昨年のエクスカリバーでベルトを戴冠して以降は毎回がベストバウトのようなタイトルマッチを繰り広げる松房選手にとっては、文字通り1年間ベルトを持ち続けることができるのか大事な一戦となります。

しかし、大会前日に投稿されたある選手のポストを見て、ししむぞが思っていた以上のドラマに心を打たれて一気に最も注目する試合へと昇華しました。

それがTORU選手のポストでした(参照)。

TORU選手のことは紫焔で活動している時に初めて見て、道頓堀プロレスでどんどん飛躍していく姿も知っていましたが、まさかその頃からゼウス選手との物語が始まっていたとは思いもよりませんでした。



試合に先立って行われた君が代の斉唱により厳粛な空気で始まった試合は、セミで行われたセコンドの介入や反則三昧の試合と全く装いが違うものに。

むしろ場外戦で執拗なほどまでに椅子に向かって投げ飛ばしたり、ハイペースで攻め続けるゼウス選手の方に若干の焦りを感じました。

ただ何と言っても直近のシングルである天王山では僅かに生まれた油断から敗北しているだけに、これも実は理にかなった組み立て方だと言えるのかもしれませんが。

序盤の猛ラッシュを凌ぎ切り、ゼウス選手のドラゴンスクリューの受け方が不完全になってからはTORU選手が一気に盛り返します。

ここからは少しでも主導権を握ろうと大技が乱れ飛ぶ大味な展開となりますが、フィニッシュ技に向けて後頭部へのダメージを着実に重ねたTORU選手が凱歌を揚げました。

ゴングが3回鳴り響いた瞬間、件のポストが頭の中で一気に流れて、同時に涙が少し流れました。

壮大な夢が叶った瞬間を目の当たりにできた感動なのかなぁ。



試合後のマイクでTORU選手は新しい景色に連れていくと高らかに宣言しました。

再始動してからの大阪プロレスで最高峰の大阪プロレス選手権に君臨したのはゼウス選手とクワイエット・ストーム選手の2人(短期間ではあるものの三原一晃選手も)。

いずれも過去に大阪プロレスで実績を重ねた選手であり、TORU選手の言葉を借りるなら“他所者”が頂点に立つのは初めてということになります。

これだけで新時代の到来が約束されたようなものですが、そこから見える景色は絶景なのか殺風景なのか。

大阪プロレスの新たな物語は来年早々の1月5日から始まります。
Written by 『商売繁盛!列島(https://www.prosperisland.com/)』ししむぞ