この「スポーツ観戦記」は原則として、僕が会場・スタジアムに足を運んで、生で見たスポーツを語るコーナーとしています。
しかし、今回のアジアカップを見ていると、色々と記しておきたい事を感じました。
だから、今回は特別編という形で、アジアカップでの日本代表の戦いぶり・大会の運営などについて感じた事を書きます。

まずは、日本代表チームについて。
今回、日本代表が連覇を果たした最大の功労者を僕はGK川口能活だと考える。
アジアカップ前まではレギュラーGKには楢ア正剛という形が固定され、川口には全くと言っていいほどに出番がなかった。
しかし、楢アのケガもあって、アジアカップではフルタイム出場を果たす。
また、中田英寿という大黒柱がいない中、最後列から味方を鼓舞し続けていた姿にはたくましさすら感じた。
川口に関しては以前から、スーパープレーもあるが凡ミスも多い、という声がチラホラ聞かれた。
今大会も6試合中4試合で失点を喫したが、川口自身のミスでの失点はなく、スーパーセーブは数多かった。
その中でもやはり、今後語り継がれていくかもしれない準々決勝でのヨルダン戦は、川口の独壇場だった。
主審の不手際もあり、また不条理なブーイングで集中を保つのは極めて難しいと思われる中、日本代表を奇跡の勝利に導いたあの勇姿は今でも脳裏をよぎる。
今後は、楢アも体調を整えてくるだろうし、U−23に派遣されている曽ヶ端、出番はなくもほぼ代表に帯同している土肥を含め、GKの1つのイスを巡ったレギュラー争いはますます過熱する事だろう。
だが、僕は川口の持つキャプテンシーを特に評価し、彼のレギュラー定着を望む。

そして、運営に関して。
もうTVニュースなどで、「ブーイング事件」については幾度となく報道されたから、あまり詳しくは書かないことにするが、あのブーイング・反日運動を見て、僕はとても悲しく思った。
試合前の国歌演奏が始まるとすぐにブーイングの嵐。
確かに、中国人にとって君が代は聞きたくないものかもしれない。
しかし、そこは感情を表に出さずに、静かにしておくのが「マナー」というものではないのか?
また、ヨルダン戦等では日本人観客に対し、物を投げるという暴挙を働いた中国人が見かけられた。
一体、日本人観客が彼らに何をしたのだろうか?
もちろん、そこにいた日本人観客は何もしていない。
しかし、彼らは「日本人はこの地に爆弾を投下した」と言う。
だが、それはもう昔のことであり、そこにいる日本人観客が直接関与したものでない。
こんなことでは、真の日中友好など果たせないことは目に見えている。
小泉総理は「スポーツと政治問題は切り離すべき」との内容の発言をされた。
僕はこれを否定はしないが、肯定もしない。
正直、僕は「中国人はスポーツの見方を知らない」と思っている。
スポーツは「平和を導くもの」と僕は常々考えている。
大概の場合、スポーツの試合が終わると、両者はノーサイドで握手などをする。
試合が終わっても、まだいがみあっているなんて光景は稀だ。
なぜノーサイドになるかというと、きっと試合を通じて相手の力を認め合うからだろう。
これは観客についても同じだと思う。
試合が終了すると、拍手が沸き起こる。
これには、ひいきチームが勝てば、ひいきチームの勝利・選手の活躍を喜ぶ拍手だが、少なからず相手チームに対しても「お疲れ様」「良い試合をありがとう」との意味も含まれていると感じる。
ひいきチームが負けても同様の拍手は起こるものである。
ただ、中国(中国サポーター)では一切起きなかった。
まして、決勝戦では試合終了直前のダメ押し点が入った所で中国人観客は帰り始め、表彰式が始まった時にはスタンドからはほとんどの中国人サポーターが去ってしまっていた。
中国代表チームも素晴らしい闘いを見せ、準優勝に輝いたというのに。

中国は、2008年にオリンピック開催というビッグイベントが待ち受けている。
ただ、今回のアジアカップの姿が欧州で放送されると、各地で中国の開催能力について疑問を持ち始めた。
僕も、今のままで2008年を迎えたとしたら、北京オリンピックに「成功」の烙印を押すことは難しいと思っている。